2015年を振り返る
2015年を振り返ってみたいと思います。私は2015年1月5日の古賀市・仕事始め式で、議長(当時)として5点の課題に言及しました。その5点に沿って結果をまとめてみました。
大晦日にこんな長い文章にお付き合いしていただける方はいないかもしれませんが、よかったらお付き合いください。
第一の課題は、「戦後70年」の課題です。
安倍晋三内閣は、集団的自衛権を容認する安全保障法案を提出しました。多くの国民の批判にも関わらず、7月17日の衆院本会議で可決・成立しました。8月14日には、「戦後70年談話」が発表されました。年末の12月28日には、慰安婦問題について日韓両政府は合意しました。
平和憲法と日本の進路、対米追随の外交路線、「安倍一強」と民主主義などが根本的に問われる一年でした。
古賀市議会では、安保法案の慎重審議を求める意見書を提出しましたが、賛成8人、反対10人で否決されました。しかし、議員有志での安保法案反対の共同アピール、古賀駅までの5日間連続集会など古賀市でも多くの市民が行動しました。
今後の取り組みとして、古賀市立西小学校の卒業生である中村哲医師の「平和講演会」を古賀市でぜひ実現したいと思います。また、古賀市・谷山での馬具発見を契機に、歴史と平和を探求する韓国との多様な交流を模索したいと思います。1月31日には「世紀の発見 船原古墳シンポジウム」が開催されます。弾みをつけたいものです。
第二の課題は、団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」への対応です。
私は1年前に、「長野県松本市を先進例として、古賀市でも健康寿命延伸の取り組みを本格的に推進すべきである」と呼びかけました。過ぎた1年、この課題を一貫して追求してきました。2016年を「健康寿命延伸元年」とし、12月議会で明らかにした「健康と地域」ビジョンが実現するよう各方面に働きかけたいと思います。
古賀市では、介護2以上になる人を1%ずつ減少させれば10年間で10億円の財政効果があること、このまま推移すれば2025年の介護保険料は月額9100円を越すことが私の一般質問で明らかになりました。
一方で、骨密度測定者は年5000人を越し、10行政区以上でヘルスステーションが設置あるいは設置希望があるなど、健康づくりの取り組みは広がっています。小野小学校では福岡女学院看護大学の協力で、全児童を対象とする健康測定・健康教育が5年間にわたって実施されることになりました。
私は、介護保険料を値下げした大分県豊後高田市や、健康寿命延伸都市を目指している長野県松本市の取り組みを視察研究しました。松本市では菅谷市長にお会いするとともに地区担当保健師の活動状況を直接見てきました。松本市の視察結果は、市長、保健福祉部職員、市議会、看護大学、県議、各公民館等で精力的に報告しました。
私は、6月、9月、12月議会で毎回、「2025年問題対応」を取り上げ、中村市長の決断を求めました。特に欠員の生じている保健師の補充と地区担当保健師の確保を求めました。12月議会では、松本視察を踏まえた「健康と地域」イメージとビジョン(小学校区単位の保健師とまちづくりコーディネーターの配置)を提示しました。これはマニフェストの原型であり、一般質問を公開のマニフェスト討論会としていく第一歩になるかもしれません。
中村市長は保健師の補充について、「常勤の任期付(3年間)保健師」を2016年4月1日から3名採用するという方針を選択しました。名簿登載者も含め8名採用する方針です。果たしてこの条件で応募があるかはわかりません。補充されることは一歩前進ですが、任期付では地域への浸透や人材育成にとって限界があります。これでは2025年問題への備えはできません。
来年も「健康と地域」ビジョンをより具体的に提言していきます。そして関係各方面のリーダーや市民の皆さんの理解を得て、2025年問題への備えをしっかり行えるよう頑張る決意です。一般質問での論争に留まらず、市民の「援軍確保」により大きな力をさくつもりです。
第三の課題は、公共交通問題です。
2002年の道路運送改正以来、日本は公共交通を民間に委ねました。このような国は世界で日本だけと言われています。赤字路線は撤退し、国民が自由に移動したくても交通手段がない地域が広がっています。国は交通政策基本法を2013年12月に施行させるなど公共交通の維持発展の方針に変わりつつあります。
また、超高齢化社会を迎える中で、公共交通の確保は安心して暮らせる地域、アクティブな地域づくりに不可欠です。
古賀市では中村市長の判断で2009年以来、西鉄路線バスへの赤字補填を継続しています。2014年には赤字補填額が運賃収入を上回る事態となりました。また、中村市長は高齢者の100円バスを公約に掲げましたが、その実現のめどは立っていません。逆に、国の消費喚起型交付金を使ってグランドパス購入補助や、三日間の無料キャンペーンを行うなど根本的解決につながる対策を講じていません。
古賀市議会では、政策推進会議で政策テーマの発表会を行った結果、公共交通問題を取り上げることを決定しました。2009年の特別委員会の取り組みを議員全員で確認するなど作業が始まりました。2016年は具体的なビジョンをめぐって議員間で討議する予定です。議会の総意として古賀市の公共交通のあり方を提言することが目標です。
第四の課題は、安倍内閣が地方に求めた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。
古賀市は、「地方版総合戦略」策定にむけてコンサルに業務委託しました。上乗せ交付金を取りに行くことを選択したため、10月末までに人口ビジョン及び総合戦略を国に提出することになりました。実質わずか半年で5年間の戦略や数値目標を定めました。有識者会議は開かれず、パブコメ以外の市民参画はないままです。
中央主導で、交付金とからめ、期日を切られたため結果的に国に振り回されたと言わざるを得ません。上乗せ交付金を使った学校図書室の一般公開は、拙速の感を否めないスタートとなっています。
古賀市議会では、私たちが6月議会での特別委員会設置を提言しましたが、希来里、山海会、共産党の6人の議員以外が賛同せず、9月議会での設置になりました。それでも私たちは人口ビジョン及び総合戦略の問題点を指摘し、議員間討議を積極的にリードしました。特別委員会は各会派、議員の意見をそのまま市長に提出し、12月議会で閉じました。
古賀市は2016年3月までにアクションプランを策定する方針です。しかし、古賀市の将来に向けた切り札が明確になっていません。
私は自分のイメージやビジョンを提示しながら、古賀市の戦略をめぐって議論を深めるつもりです。さらに、第4次総合振興計画の中間見直しの年になりますので、前期基本計画の総括論議を促したいと思います。「人口目標65000人」を修正しないという執行部の認識を改めさせたいと考えています。
第五の課題は、仕上げの段階を迎えた議会改革です。
私は5月12日、4年間の議長の仕事を全うしました。この4年間で、インターネット議会中継・録画の配信、議会基本条例の施行、議会報告会の開催、政策推進会議による災害時議会対応要綱策定などを実現しました。
早稲田大学マニフェスト研究所の2014年議会改革度調査で、全国32位、九州・沖縄で第1位となりました。また、「月刊ガバナンス」に古賀市議会の取り組みが紹介されました。
私は、議会改革について五島市議会や糸島市議会などで講演する機会に恵まれました。
そして2015年の5ヶ月間では次のような取り組みも実現しました。
ア)福岡女学院看護大学とのパートナーシップ協定の締結。
イ)政務活動費の収支報告、領収書のホームページでの公表。
ウ)予算審査特別委員会のインターネット中継配信。
エ)議会報編集常任委員会を設置する条例改正。
オ)古賀市議会災害対応要綱の策定。
カ)正規職員5人、再任用1人による議会事務局体制の実現。
キ)任期最後の定例会閉会時の議場での議長挨拶。
ク)議長の任期満了を迎え「議長心得」の提出。
4月に統一地方選挙が行われました。19人の新しい市議会体制(現職8人、元職4人、新人7人)となり、結城弘明議長体制が発足しました。私は5回連続のトップ当選で6期目に入り、村松謙二議員と希来里を結成しました。市民建産委員会、議会運営委員会(副委員長)に所属しました。
2015年の後半7ヶ月で、以下のような取り組みが行われました。
ア)補正、決算、地方創生特別委のインターネット中継。
イ)一般質問での書画カメラの活用。
ウ)地方創生特別委員会の設置と議員間討議。(9月~12月)
エ)政策推進会議で政策テーマの発表会。(10月19日)
オ)カフェ方式を取り入れた議会報告会の開催。(11月14日)
カ)欠席理由に出産の規定を追加する会議規則改正。(12月18日)
2015年の念頭に掲げた5点の課題に沿った結果は以上です。
最後に、2015年の古賀市の市政について特徴的なことをまとめておきます。
①竹下市政4年間を経て、第4期目となる中村市政が再発足しました。1月、3月、6月、9月、12月と5回の定例会が行われました。執行体制として、坂本副市長と横田副市長による二人体制が発足しました。
②市長選で掲げた公約(水道料金3割値下げ、高齢者の100円バスなど)よりも、国の消費喚起型や地方創生先行型を使った施策が目立った期間でした。後半になって、バイオマス発電の可能性調査が民間との共同申請で始まりました。
③国から求められた人口ビジョン及び総合戦略は、上乗せ交付金を取りに行くことを選択したため、10月末までの策定と国への提出となりました。
④生涯学習センターの建築工事が始まりました。(起工式・2月23日)
⑤開発関係では、篠林流通団地の完成、高田区画整理事業の着手(起工式・7月29日)、古賀駅東口の再開発の基本構想策定、玄望園の開発計画やスマートインターに向けた取り組みがありました。企業支援として工場敷地内の緑地緩和条例、固定資産税免除などの企業立地推進条例。
⑥これまで10年間続いた枠配分型予算編成が、2016年度予算編成から中断され全件査定方式となりました。2,3年この方式を行ったあと、枠配分型予算編成を再開するとのことです。中村市長3期目に始めた枠配分方式の総括は、ビジョンなき行財政改革は、職員の政策立案能力の向上につながらず、古賀市の発展をもたらさなかったということではないか。私はこの点を12月議会の一般質問で指摘しました。
以上、2015年を振り返ってみました。
大晦日、元旦とゆっくり考えを深化させたいと思っています。また後援会役員や友人と語らうなかで、将来展望を描く知恵や力を頂けるのではないかと楽しみにしています。
どうか皆さん!良いお正月をお迎えください!
2015年12月31日
古賀市議 奴間 健司