視察報告 滋賀県大津市議会の災害時BCP

議会局議会総務課長の清水克士さんを囲んで(私が持っているのがサバイバルローラーバッグ)
議会局議会総務課長の清水克士さんを囲んで(私が持っているのがサバイバルローラーバッグ)

 10月14日の10時から滋賀県大津市議会の視察研修を行いました。大津市議会議会局議会総務課の清水克士課長がパワーポイントを使って説明してくれました。今回は、「議会ミッションロードマップ」と「議会BCP(業務継続計画)」にしぼったテーマでした。古賀市議会の議員並びに議会事務局にとってたいへん有意義な視察研修となりました。概要を報告します。

 視察研修の前に議長室で、北日本放送が大津市議会の取り組みを報道した録画を見せていただきました。そのあと、議場で大型スクリーンを使いパワーポイントで詳しく説明をしていただきました。

(1)議会ミッションロードマップ

①2015年4月1日に議会基本条例を施行。そのことにより市民生活がどうよくなるのか、議会がそのために何をやろうとしているかを示さなければおかしいということで4年間の任期中に取り組む11の任務を明らかにした。

②政策立案の分野では土地利用基本条例や交通基本条例の制定、議会における行政評価、若者の投票率向上などをあげた。

③議会改革の分野では正副議長選の立候補制・所信表明制度の導入、政策形成過程における住民参加のあり方などをあげた。

④ミッションロードマップの策定は、5月から8月にかけ、5回の政策検討会議の場で議員間討議を重ねて仕上げた。

⑤市民の意見を取り入れているかという批判があるが、議員はそもそも市民ニーズを把握しているはず。改めて把握しようとすれば1年かかる。スピード感が必要であることから議員間討議で策定した。

⑥途中の検証は議運で行い、最終評価は外部の視点を入れる予定。

(2)議会BCP(業務継続計画)について

❶同志社大学の新川達郎教授の指導を得て、地方議会で初めて策定した。(2013年6月)

❷東日本大震災や大津市南部豪雨災害などで災害時の議会のあり方が問われた。また災害時に議員の個別要求が市の災害対策の妨げになることもあった。さらに議会事務局のBCPはあったが、議事機関としてのBCPはなかった。そこで策定することにした。

❸震度5以上の地震や風水害、大規模火災や原子力災害などを想定。正副議長、各会派代表者で構成する議会災害対策会議を設置する。

❹議会の基本的機能を維持することを目的とし、議員・事務局職員の安全確保、審議を行う環境の確保・整備、的確な情報の収集と把握を大きな方針とする。

❺計画はできるだけシンプルなものとし、事務局職員を執行部の任務割り当てから外してもらうことから始めた。

❻災害発生の初動期(発災後~3日)は対策会議設置、安否確認。議員は地域活動に従事。中期(3日~7日)は災害情報の収集・把握・共有・議員は参集指示があれば速やかに参集し議員活動に専念。後期(7日~1ヶ月)は議会機能の早期復旧。本会議・委員会を開催し、復旧・復興予算などを審議。1ヶ月以降は平常時の議会組織体制とし復興計画等について議会として審議する。

❼100%完全な計画とせずたえず変えることを前提に策定すればよいという考え。

❽防災訓練は極めて重要。決めたことが徹底していないことも一部判明。ポケットカードの作成、タブレットを使った情報提供、Facetimeによる訓練など工夫を重ねる。

❾議場の机にヘルメットを整備。3日分の食料などを入れたサバイバルローラーバッグ(約1万円)を一人1個ずつ配布。災害時には食料、水の確保は各自の責任である。議会が先行して取り組んだ。

(3)質疑応答

 質疑応答では、議会事務局の積極的役割、職員の大津市在住割合(5割強)、先進事例(雛形なしで作成)、議員力アップ対策(研修、会派内での取り組み)などがありました。議会局職員は「軍師」であるべきで、決めるのは議員である。

 私は、交通基本条例、災害発生と議会運営、議決事件の具体的審議等について清水課長のアドバイスを頂きました。

 今回の西脇市議会並びに大津市議会の視察研修は本当に成果の多いものとなりました。古賀市議会としてさらなる活性化に取り組みたいと思います。

 清水課長、大変ありがとうございました!